英語のイディオムとは?英熟語とは違うの?効果的な覚え方は?

英語のイディオムとは?英熟語とは違うの?効果的な覚え方は?

英語学習を進めていくと、イディオムという言葉に行き当たることがあるでしょう。英熟語とよく混同されがちですが、似て非なるもの。ですが、ネイティブがよく使う言い回しでもあり、英会話上達を目指すなら避けては通れないものです。

今回はこのイディオムについて徹底解説。覚えにくいと言われることも多いイディオムですが、効果的な覚え方や学習方法についても触れていきます。

英会話だけでなくTOEICなどの試験対策をしている人にも必見の内容です。

英語のイディオムの基本概念

英語のイディオムの基本概念

まず、イディオムとは何かということについて学んでいきましょう。イディオム(idiom)とは、2~3の語が結びついて原義とは幾分違った特殊な意味を持つ習慣的な言いまわしであり慣用語や成句とも呼ばれます。

なんのこっちゃ、と思うかもしれませんがもう少しかみ砕いて説明しましょう。

イディオムとは、2つ以上の単語が合わさって特別な意味を表す言い回し

これなら少し分かりやすいのではないでしょうか。特徴としては前置詞との組み合わせで単語の意味が変わったり、元の単語の意味からは想像もできない意味になったりすることです。これによって、ある程度の単語力を身につけている人にとっても難しいと感じる要因となっています。英語の歴史において時間をかけて出来あがったものなので、意味がでたらめに思えるようなものも。

しかし類似表現比喩から成り立っているイディオムも多くありますし、、日本語のことわざ慣用句のようなものも含まれており、ネイティブの英語の会話では非常に多くのイディオムが使われているのが現状です。英語学習中の我々でも、それがイディオムと気づかずに使っているなんてことも少なくありません。

イディオムと英熟語は違うの?

イディオムと英熟語は違うの?

イディオムの定義が分かってくると、特に国語が得意な人などは「それって熟語とどう違うの?」と感じるかもしれません。実際「イディオム=英熟語」として教えている先生もわりといます。実際問題、イディオムを英熟語として覚えることに何の不都合もないというのも事実です。

ですが、正確にはイディオムと英熟語は異なります。熟語というのは2つ以上の英単語が連立することにより、元々の単語とは違う意味を持つものになるもののことです。「動詞+upやoff」などの単語の並び(「Get up」「Put off」など)がこれに当たります。

まだ分かりづらいと思うので、例を挙げて説明しましょう。

イディオム 熟語
a piece of cake
とても簡単な
look forward to
期待する
ring a bell
心当たりがある
go to bed
寝る
over the moon
有頂天
a lot of
たくさんの

これを見ると、熟語に関しては元の単語の字面を見るだけで意味が分かりやすい(ベッドに行く=寝る、だな等)のに対してイディオムは元の単語の意味だけから考えると分からない・比喩表現も多いことが分かります。

a piece of cake(一切れのケーキ)がどうして「とても簡単な」になるのか、由来を知らなければ分からないでしょう。「ケーキ」は、たやすいとかほとんど労力を必要としないといった状況を説明する際によく使われる語です。ケーキを一切れ食べる→簡単なこと、という成り立ちなわけですね。

イディオムは熟語の一部であり、熟語の中にはイディオムではないものがあるというふうに考えていただければよいかと思います。あまり深く考える必要はありませんが、違うものだということだけ覚えておきましょう。

イディオムの効果的な覚え方とは?

イディオムの効果的な覚え方とは?

ここまで解説を読んでいただくと、ちょっと怖くなってきた人もいるのではないでしょうか?そう、それは正解です。なぜなら英単語の直訳でそのまま考えると文章の意味を全く違うものに認識してしまう可能性があるからです。特にネイティブと話しているとき、自分だけ全然違う話ととらえてしまっていたら恥をかいたり、あまつさえ怒らせてしまったら、など…

なので、イディオムは覚えておくに越したことはありません。とはいえ全てのイディオムを覚えるというのはさすがに無理がありますが、ひとまず効果的なイディオムの覚え方について説明していきましょう。

例文を作って覚える

イディオムというのは文脈の中でこそ意味を成すので、自分で文を作ってそのまま覚えてしまうのが最も早く、応用も利きます。

「自分で文を作るとか苦手なんだよな…」その気持ちは分かります。しかし単語や構文集のような覚え方をしても、実際にどう使われるかが分りづらいイディオムではなかなか役立てづらくそもそも覚えづらいものです。

例えばa piece of cakeなら「The test was a piece of cake.(そのテストはとても簡単だった。)」と覚えたほうが覚えやすくもあり、また応用させやすいことが分かっていただけるでしょうか。ring a bellであれば「Does it ring a bell?(これ、何か心当たりありませんか?」「It doesn’t ring a bell with me.(私にはピンときません。)」と覚えたほうが効果的です。

自分で作れなかったとしても、例文で覚えるに越したことはありません。イディオムを覚えるときは例文とともに覚えるというのを頭に入れておきましょう。

テーマ別に覚える

イディオムにもある程度の系統があります。その系統(テーマ)ごとに覚えるのも効果的です。例えば「体のパーツの入ったイディオム」「動物が入ったイディオム」など…

何度か出ているa piece of cakeも、「easy as pie」がほぼ同じ意味です。Finishing the task by tomorrow will be easy as pie.(このタスクを明日までやることは朝飯前だよ。)のように使います。これらは「食べ物の入ったイディオム」として覚えられそうですね。

他にはこんなテーマも考えられます。

「体調不良」を表すイディオム

under the weather:「体調や気分が優れない」
She seems to feel under the weather today.(彼女は今日は具合が悪いようです。)のように使います。もともとは、船酔いを感じたり悪天候によって悪影響を受けたりすることから来ているようです。

I’m feeling sick.というのが普通の表現ですが、これをちょっと遠回しな表現で言うのがイディオムならではです。

off-color:「具合が悪い、体調がすぐれないこと」
I’m feeling a bit off-color today.(今日は少し体調が悪い)のように使います。under the weatherとほぼほぼ同じ意味ですね。ですがこの2つのイディオムを知らなければ、同じ意味ということも分からずじまいです。

「可能性」を表すイディオム

When pigs fly:「起こりようもないこと」
When pigs fly he’ll tidy up her room.(彼が部屋を掃除するなんて有り得ない)のように使います。豚が空を飛ぶ→あり得ない、というわけです。同様にpigs might flyというのもあります。

Once in a blue moon:あまり起こらないようなこと
I see her once in a blue moon now. (今ではほんのたまにしか彼女に会いません)のように使います。ブルームーンとは文字通り比較的青色に見える満月のことですが、同じ月のうちに二度満月がある時の二度目の満月のこと(4回のうちの3回目という説も)だそうで、これが2~3年に一度とめったに見られないことから「めったに起こらない」という意味になったということのようです。

このイディオムに限らず、blue moonという言葉は「めったにないこと」「長い間」のメタファー(隠喩)として使われています。

ちなみに意味は違いますが、
over the moon:「天にも昇る気持ち」
という言い回しもあります。I was over the moon when I heard about the news.(私はその知らせを聞いた時、天にも昇る気持ちだった。)のように使います。「moonつながり」で覚えておくといいかもしれませんね。

ビジネスシーンで使えるイディオム

ビジネスシーンでも、もちろんイディオムは使われます。ネイティブの人と取引する際に覚えておいて損はないでしょう。

bring (something) to the table:価値のある物事をもたらす
Please feel free to bring new ideas to the table.(遠慮なく新しいアイディアを出してください)のように使います。会議などではbring to the tableで会議などでアイディアを出すという意味で使われます。

in a nutshell:ひとことで言えば、簡潔に言えば
nutshellはそのまま「ナッツの殻」です。ナッツの殻に入るくらい少ない言葉で、というニュアンスで上記の意味になります。Could you please tell me what your company does, in a nutshell?(会社の概要を簡単に説明してもらえますか?)などのように使います。

海外ドラマ・映画などで覚える

海外ドラマや映画などは、イディオムの宝庫といっても過言ではありません。最近はネットフリックスなどでも簡単に見られますから、英語の音声と字幕に違和感を感じた時・字幕なしで観ていて意味が分からなかったときなど、ぜひ巻き戻して英語字幕をオンにして再度観てみましょう。

「こんな意味だったんだ!」などと知らなかったイディオムがたくさん出てくるはずです。(日本語字幕は意訳がかなり含まれているので、後で本当に正しいイディオムかどうかはちゃんと調べましょう)

またこの方法だとドラマのシーンなどと結び付けて覚えられるので、より記憶に残りやすいといったメリットもあります。

まとめ

まとめ

今回は英語のイディオムについて解説しました。今回例に挙げたイディオムの例文だけでも「知っておいてよかった!」と思っていただけたのではないかと思います。

本文中でも言及したように、全てのイディオムを覚えるというのはほぼ不可能です。しかし日常会話やビジネスの場で頻出するものだけでも覚えておけば、「相手が何を言っているか分からない」といった事態を避けるのに大いに役立ちます。

イディオムを覚えることは、とにかく実践的な試みです。ネイティブの人たちと会話するときに出てきた「a piece of cake」を知らなかった場合、「ケーキの話をしている?なんでここでケーキ?」となってしまい、そこから本当の意味を推測するのはほぼ不可能です。

イディオムを多く知っていればいるほどそういった「会話の事故」に遭遇する確率が減りますし、単純にリスニング力もアップします。

専用の教材を1冊持っておくのもいいですが、ぜひノートを1冊用意して「自分で例文を作る」「例文ごと覚える」というのを試してみてください。

BRIT編集部
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