英語のリンキングに隠れた本当の意味│難しく考えすぎていませんか?

英語のリンキングに隠れた本当の意味│難しく考えすぎていませんか?

「発音とスペルが違う!?」

英会話を勉強していくと、そういった不思議な現象によく遭遇しますよね。これは、自然なスピードで英語を話したとき、発音を簡単にするために編み出された仕組み・音声変化が原因です。

単語と単語をくっつけたり、単語の一部分が消えたり……。まるで、我々の英語学習を学ぶのを妨害する忍者みたいです。

でも、彼ら音声変化君たちは、けっして英語を難しくするために生まれた忍者ではございません。むしろ、本来は“より簡単にするための”存在です。

今回はそんな音声変化から、単語と単語をくっつける“リンキング”にフォーカスを当てて、解説と勉強方法をご紹介します。

なお、リスニングそのものに悩んでいる方や、単語の一部分が消える“リダクション”について知りたい方は、下記が参考になると思いますので、そちらも合わせてご確認くださいね。

「英語が速くて聞き取れない!」の秘密は音声変化にあった!?

英語のリンキングに隠れた本当の意味│難しく考えすぎていませんか?

本題に入る前に、小話をひとつ。

「英語の文章は読めるけど、英会話は早くて聞き取れない!」という悩みの原因は、リンキングを始めとする音声変化の発音を知らないからと言われています。「単純に英語のリスニングができてないからじゃないの?」と疑問に思うかもしれませんが、違うのです。

リンキングは日本語で言うところの略語

リンキングは、日本語で言うところの略語に似ています(もちろん、厳密には違いますが)。

例えば「Can i」=「キャン アイ」は、リンキングすることで「キャナイ」に省略されます。NとIの間が省略されたような状態ですね。

この現象を日本語で例えてみましょう。

「こんにちは。とてもお久しぶりですね。元気でしたか?私ですか?それはもう、とても元気です」

はい、このような台本があったとします。綺麗な日本語ですが、喋り言葉でこのようにしっかりと読み上げる人は少ないと思いますので、喋るときはより自然にしてみましょう。

「こん~。ちょーおひさじゃん。元気だった?私?そりゃーもーちょー元気」

急にギャル語みたいな雰囲気になりましたね。しかし、意味はなにひとつ変わっていません。日本語ってすごいですね。

……さて、注目してほしいのは、その文章量の少なさです。見てわかる通り、後者のほうが短いですよね。なぜなら、内容が省略されているから。あたりまえですね。

しかし、この省略されている状態の会話を聞いたら、日本語学びたての外国人留学生・マイケル君はどう思うでしょうか?

「台本の文章と発音がまったく違うじゃないか!しかも早くて聞き取れない!なんて日本語は難しいんだ!Why Japanese people!?」

間違いなく、こう思うでしょう。でも、別にこれ、会話が早くて聞き取れていないわけではないというのは、日本人のみなさんならわかりますよね。略語の発音と意味がリンクできていないから、早く聞こえている気がしているだけなのです。

「できなくて当たり前。できたらかっこいい!」のがリンキング

……あれ?みなさん、どこかで同じような話を聞きませんでしたか?

そう、リンキングで悩む我々と同じ叫びなのです。

つまりは「略語の音を知らないから、会話が速く聞こえている気がしている状態」は、「英会話が早くて聞き取れない」が悩みの根本的原因である可能性が極めて高いのです。

これは、ひとつの大事な事実も教えてくれます。リンキングは、別にできてなくても“英会話ができない人じゃない”ということです。

マイケル君があの会話を認識できなくても、誰も日本人は驚かないですよね。むしろ、理解したほうが「めちゃくちゃ日本語うまいじゃん!」とビックリすると思います。

リンキングも同じです。「できなくて当たり前。できたらかっこいい!」のがリンキング。だから、できないからといって落ち込む必要はまったくないのです。

リンキングは発音を簡単にするシステムです

英語のリンキングに隠れた本当の意味│難しく考えすぎていませんか?

さぁ、本題に入りましょう。

リンキングとは「単語の最後の音+続く単語の最初の音をつないで話す(連結)」ことです。日本では、フランス語表現の「リエゾン」として習うことも多いですが、同じような意味を持ちます。

「Nice to meet you.」

訳:初めまして!よろしくお願いします!

日本人でも誰でも知っているこのフレーズ。みなさん、これをどのように発音するでしょうか?……そう、「ナイストゥーミーチュー」です。ただ、普通に使っているそれは、すでにリンキングしています。

「meet you」→ミーチュー

この部分を、スペルの通り「ミート、ユー」と発音する人はなかなか居ないと思います。なぜなら、言いにくいから。リンキングは、こういった言いにくい部分を省略して繋げるシステムです。

では、なぜ、このような繋げるシステムが必要なのでしょうか?

その答えは、英単語の多くが子音+母音+子音で構成されていることにあります。

私たちの使う日本語の単語は「あ」「い」「う」「え」「お」の母音で締めくくられ、子音で始まることが基本の言語です。例えば魚なら「Sakana」で「S(子音)」で始まり「A(母音)」で終わります。

一方で、英語で魚だと「fish」は「f」で始まり「h」で終わるため、どちらも子音です。身の回りのものはどうでしょうか?Cup、Light、Card、Cat……その多くが子音で始まり、子音で終わりますね。では、子音と母音を意識して文章を見てみましょう。

「Nice to meet you.」

単語の発音の区切りを意識すると「Nice(母音)+(子音)to(母音)+(子音)meet(子音)+(子音)you.」となっているのがわかりますね。そして、リンキングしている部分は子音+子音であることがわかります。子音で単語の終わることが多い英文では、同じ現象が頻繁に発生します。

もちろん、これだけではありません。あるときは子音+母音になったり、またあるときは母音+母音になったりと、その組み合わせはさまざまです。

しかし、そういった組み合わせだと、発音するのが難しいですよね。例文だと「チェッk……プリーズ」といった状態になるでしょうか。こういった状態を、単語と単語を繋げて「チェッ(※小さなkの音)プリーズ」という形で解消するのがリンキングです。日本語で例えるなら「おおかやま」よりも「おーかやま」とほうが言いやすいといったのに似ています。

学校などの勉強では「リンキングは繋げなきゃいけない単語」のように学習するために難しいと誤解しがちです。しかし、実際には「音に出すと大変だから繋げてるだけ」という、とても大雑把な存在であるわけです。

リンキングを学ぶにはディクテーションをしましょう

英語のリンキングに隠れた本当の意味│難しく考えすぎていませんか?

リンキングは、いくつかの種類で分類できます。

①子音+母音

例:like it(ライキ)

②子音+子音

例:Check please(チェップリーズ)

③母音+母音

例:The end(ディエンド)

これらが基本の分類で、人によっては独自のルールで覚えている人もいます。しかし、このように子音と母音のように分類されると勉強のようで難しく感じませんか?ちなみに、私は感じました。

……と、いうことで、これらは「なるほど。そういうことなんだな」と理解した気分で頷きましょう。うんうん。……逆に言えば、日本語の基本と同じ母音+子音はリンキングしないんだなということを覚えておくと便利です。

そして、リスニングの記事(※よければ下記をご覧ください)でもお話しましたが、英会話において重要なのは「発音を覚えること」です。これは、リンキングも同じ。発音を覚えてしまえば、実は自動的にできるようになります。

海外で使える魔法の言葉

試しに、私が英語を習い始めたころに教わった魔法の言葉をみなさんに伝授いたします。

Can I have=キャナイ(リンキング)、ハブ=私は欲しいです。

海外のレストランでオーダーをするときには、とりあえず「キャナイハブ~」と言ってから、オーダー名を言いましょう。「キャナイハブ、ハンバーガー」。「キャナイハブ、ソーダウォーター」。コレだけ覚えておけば、もうレストランのオーダーで困ることはありません。

レストラン以外でも、もちろん使えます。カフェでメニューが欲しいときには「キャナイハブ、メニュー」。雑貨屋でお土産が欲しいときには指をさしながら「キャナイハブ、ディス(this)」。Wifiを探しているなら「キャナイハブ、Wifi」でなんとなく通じます。

リンキングを学習するポイント

たった今、この知識を覚えたあなたは今後、海外のお店で楽しく買い物ができること間違いなし。さらに、あなたは「Can」を使うリンキングをほぼマスターしました。

なぜなら、「can you」でも「can he」でも「can we」でも、リンキングの使い方はほぼ一緒で「キャ(n+続く子音)です。ca/ny/ouなら「キャニュー」。ca/nh/eなら「キャニヒー」。ca/nw/eなら「キャニュウィー」です。

このように、発音さえ覚えてしまえば、リンキングも自動的に習得できます。まさしく一石二鳥ですね。

ただし、注意すべきなのは、「リンキングするとスペルと発音が完全に違うものになること」です。そもそも聞き取れていないリスニングとは異なり、単語と単語がくっついて別の音になっていることは意識しておく必要があります。特に、我流で編み出したリンキングなどを使っても、他人には通じないので「みんなに伝わるリンキング」はしっかりと覚える必要があります。

変化のルールが学べるディクテーションとは

そのボキャブラリーを増やすのにもっとも効果的なのが、英文を読み上げながら、文字に書きだすディクテーションです。発音しながら書きだすことでスペルと音が違う部分が明確にわかるので、どのような単語が変化するのかを確かめることができます。

英語教材を販売するアルクの『起きてから寝るまで英語表現1000』など、CD-ROM付きの日常英会話が多数収録された教材などを活用し、スペルと音が違う英会話を確認していきましょう。

『CD-ROM付 起きてから寝るまで英語表現1000』

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リンキングを学べるYoutube動画5選

英語のリンキングに隠れた本当の意味│難しく考えすぎていませんか?

リンキングの勉強には、実際に発音を聞いて学ぶのが一番効果的です。そこで、ここからは動画で英語の発音を学べるYoutube動画をご紹介します。

英語のリンキングはまずここから!終わりの子音を聞き取ろう(アメリカのTの発音)ネイティブの発音についていけるかな? [#175]』

英語圏のこどもが英語を学び始めるとき、最初の勉強方法として使われるフォニックス。そのフォニックスをベースに、日本人に向けて英語の勉強方法を発信しているのが『あいうえおフォニックス』です。

かわいいイラスト&ゆるいキャラクターで、本格的な英語学習が学べることが英語を学ぶ幅広い層の人気を集め、現在のチャンネル登録者数は18万人を突破。その注目度から、2020年3月には書籍『あいうえおフォニックス 英語の母音をひらがな5つで完全攻略!』がKADOKAWAから発売されました。

紹介している動画では子音の聞き取りにフォーカスを当ててリンキングを解説。日本人向けにとても細かい部分を解説しているので、リンキングを学ぶ入門編としてピッタリです。また、同チャンネルでは、様々な種類のリンキングに関する動画も公開されています。

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『困った!東京で外国人がアパート探し1|リスニング練習|IU-Connect英会話#249』

「英語学習から解放され、外国人と英語を実際に話せるようになること」を最終目標として、英会話情報を発信しているアーサーさんの『IU-Connect』。Youtubeで動画、ブログでのコラム、Podcastではラジオ番組によるレッスンが行われているほか、自身のサイトでは有料のプレミアムコンテンツが用意されています。

今回の動画では、アーサーさんが東京で家探しをしたときの「今までこれほど小さなアパートは見たことがなかった!」「外国人は入居拒否される!」といったカルチャーショックを受けたエピソードを、リスニング練習として楽しめます。ナチュラルなスピードと、聞き取り用の遅いスピードの2種類を用意してくれているので、実際の会話でどんな単語がリンキングするのかを確認してみましょう。

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『Learn to Understand Fast Speech in English: a 20-day challenge with JenniferESL』

チャンネル登録者数約90万人を誇る英語教師・ジェニファーさんによる20日間のレッスン動画シリーズ。0の状態から段階的にレッスンできるので、自宅レッスンを受講する感覚でネイティブの英会話を学べます。

動画はすべて英語でのレッスンですが、字幕機能を使えば日本語字幕付きで動画の内容を確認できます。これほど本格的な授業が好きなときに配信で見られるのは驚きです。

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『What is he saying?(1) (Listening Practice) [ ForB English Lesson ]

英語レッスンビデオを公開する『FROB ENGLISH』チャンネルでは、「What is he saying?」というリスニングに特化した動画シリーズが投稿されています。1本約2分、クイズ形式の内容なので、空いた時間にさまざまなパターンのリンキングをサクッと確認できるでしょう。前述したディクテーションを、この動画と合わせて行うもの学習効果が期待できます。

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『日本を離れずとも英語を終わらせる最強の習得法。PS. 「外国に住めばラクに外国語マスター」なんてのは幻想』

「英単語は、アルファベットのスペリングで別けるのではなく、発音でちょんぎります!!」

そんな、日本人が学ぶ英語、ときには私たちの母国語である日本語の常識もぶった切る英語レッスン動画を“日本語で”発信する韓国人・がっちゃんによるYoutubeチャンネル。/p>

ご本人は「韓国に住む、ごく普通の韓国人です」と自己紹介をしているものの、自身で開発した学習法「音節分離」で特許を取得するなど、実力は本物です。韓国語・日本語・英語を巧みに操りながら、独特のハイテンションと毒舌でくり出されるマシンガントークには「韓国人に日本語で英語を教えてもらっているのに学校よりわかりやすいし面白い……」と感想を漏らす人が続出。熱狂的にファンを生み出しながら、間もなくチャンネル登録者数約30万人を迎えようとしています。

動画では「言語って結局、音であり、リズムであり、メロディ!」「文章がメロディならば、それを構成してる単語だって当然音楽!」と英語教師からは出てこないであろうワードをくり出しながら、日本語と英語の発音の違いを解説してくれています。特に、リンキングに関しては9分40秒あたりからの解説がタメになりますので、一度ご確認あれ。

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リンキングができるかっこいい日本人を目指しましょう

英語のリンキングに隠れた本当の意味│難しく考えすぎていませんか?

「日本人はリンキングができなくて当たり前!できたらかっこいい!」

私たち日本人は“テストのための英語勉強”の中で、こんな大切なことをどこかに置いてきてしまいました。「リンキングができないと、恥ずかしいから英会話できない……」という謎の常識が、私たちを一番英語から遠ざけています。

そんな常識は、今日から捨ててしまいましょう。とにかく話すのです。旅行や日常で外国人と話し始めるとわかりますが、リンキングはかなり適当な人が多いですし、人によっては謎の癖があったりします。それは、頭で理解するのではなく、音で覚えて口に出しているからです。

まずは自分の口で言葉にしてみる。すると、リンキングは自然と身についていくものです。たくさん話して、ぜひ「かっこいい英語」を話せるようになりましょう。本文でも紹介しましたが、発音練習の方法は下記で紹介しているので、ぜひこちらも読んでみてください。

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