英語と日本語の語順の違いって?効果的なトレーニング方法は?

英語と日本語の語順の違いって?効果的なトレーニング方法は?

今回のテーマは「英語の語順について」とそのトレーニングについてです。「語順」という言葉にはあまり聞きなじみのない人も多いのではないでしょうか?しかし英語力アップには重要なことのひとつです。

語順とは、文字通り言葉の並びのことです。これが英語と日本語では全く違うことが、日本人が英語を身につけるうえでの壁となっています。ですが、逆に言えばここを攻略して理解すれば英語能力を飛躍的に高めることができます。

今回は英語の語順について日本語との違いや特徴、どのようなトレーニングで身につければいいのかについて解説していきたいと思います。

英語の語順と日本語の語順の違い

英語の語順と日本語の語順の違い

まず前提として、日本語と英語は真逆と言っていいほど性質が大きく異なる言語ということを理解しておいた方がいいでしょう。その違いは文法や品詞の種類など様々な面にわたり、もちろん語順に関してもそうです。なぜこんな違いが生まれたのでしょうか。

英語に近い言語と遠い言語とは

この違いはアフリカで人類が誕生して世界中に広がっていく中で生まれたようで、イギリスに近いスペイン語・ドイツ語・フランス語・イタリア語などヨーロッパ圏や、メキシコなどの南アメリカの言語は語順を含めて英語に非常に近い性質を持っています。文法など勉強しなくても自分の言語の単語を入れ替えるだけで英語の語順が完成する、もしくはそれに近い形になることが多いとか。中国語ですら文法的には英語に近いものがあるようです。

一方、英語と真逆と言っていいほど違うのが日本語や韓国語など。ですが、韓国人には英語が堪能な人が多いイメージがありますね。英語教育方法の違いによるものでしょうか。

ちなみに発音に関しても同様に日本語と英語は全く違います。下記記事が参考になるかと思います。

英語と日本語の文法の具体的な違い

英語と日本語や韓国語には文法的に明確な違いがあります。具体的には下記のようになっています。

英語(と、それに近い言語): SVO(主語+動詞+目的語) 鈴木君が食べたリンゴを
日本語や韓国語など: SOV(主語+目的語+動詞) 鈴木君がリンゴを食べた

ちなみに意外に英語に近い中国語はSVOですし、日本語に近いと言われるトルコ語はSOVとなっています。

このような違いを原因として、イギリスに近いヨーロッパ圏の国の人は語順が似ているため少しの訓練で流暢に話せるようになりますし、日本のようにそうでない言語圏の人には難しくなってくるわけです。

英語と日本語の関係性の示し方の違い

英語と日本語では、関係性の示し方が違います。日本語は助詞(「は」や「を」などのこと)を使って関係性を示すのに対し、英語ではまさに語順によって関係性を示します。

「私は」の「は」・「彼に」の「に」・「公園に」の「に」・「ボールで」の「で」など、日本語には文章を装飾する助詞の数や種類が豊富です。そのため、英語ほど語順が重要ではありません。例えば「は」は直前の語が主語であることを表し「を」は対象を表すので、「私は英語を勉強する」でも「英語を私は勉強する」でも同じ意味になります。

対して英語は「最初に来た名詞が主語」で、「動詞の後ろがその動詞の対象(目的語)」となります。単語の並び方(語順)で意味が決まるので、日本語の例のように「私は英語を勉強する」でも「英語を私は勉強する」でも良いとはなりません。「I study English」「English study me」としてしまうと訳のわからない文になるのが一目瞭然かと思います。

英語と日本語の住所の表記の差

英語と日本語の語順の違いは、住所の表記にも表れています。次の例を見てみましょう。

1234-5, Akagishitamachi, Shinjuku, Tokyo, JAPAN

日本 東京都新宿区赤城下町1234-5

比べると分かるように、英語の住所は今自分がいる地点=中心から外側に向けて広がっていきます。(番地→町名→区→都道府県→国)

一方おなじみの日本表記では全く逆になっていますね。

これは、英語圏が個人主義であることに由来するという説もあります。自分=中心から外に広がっていく英語と、周囲との調和をより重んじる全体主義の日本~外側から巡って辿りついたところが主体となる~の違い、というわけです。

中心から広がる、という英語の考え方

住所の例と同じく、英語の語順の考え方として「中心から外へ広がる」と考えると分かりやすいかもしれません。

まず中心となる情報=一番大事な部分・伝えたい部分を最初に言い、その後に付属情報を足していくイメージです。

例えば…

中心情報 付属情報 英文
「私は朝食を食べた」 「大至急」「今朝」「なぜなら寝坊したから」 I ate my breakfast quickly this morning because I got up late.
「(~は)大事なことである」 「生きること」「明るく」「笑顔で」「毎日」 It is important to live brightly with a smile every day.
「私には友達がいる」 「(その人は)イギリスに住んでいる」「翻訳会社で働いている」 I have a friend who lives in England and works for a translation company.

どの例も1番最初(1番左)で最も言いたいことを言い、その後に情報の重要性順に並んでいるのが分かりますでしょうか。

英語の語順を時系列で考える

英文は情報の重要性順に並んでいるという説明をしましたが、これは時系列=時間の流れとしてとらえることもできます。例えば

I came into the room.(「私は部屋に入った」)

上記の文でいうと、時系列的には「まず部屋の前まで来て(came)」、「次に部屋の中に入る(into the room)」ことになりますよね。

このように時系列で考えるのも、英語の語順を理解するのに役立ちます。

英語の語順を身につけるためのトレーニングとは

英語の語順を身につけるためのトレーニングとは

それでは英語の語順を身につけるためのトレーニングについて考えていきましょう。一番大事なのは上で書いてきたような、語順というものを理解することですが、その他にも気を付けておきたい点があります。

英語の訳し方を変える

英語の文章を訳すとき、どのようにしていますか?英語と日本語の構造の違いを踏まえて「英文は主語以外は後ろから訳せ」と言われることがありますが、聞いたことがありますでしょうか。これはどういう方法かというと

I was watching TV in the living room,eating chips, when i heard my husband came back home.

という英文があったとき、主語の「私は」のあと、一番後ろを訳し(「夫が家に帰ってきたのを聞いたとき」) 、その前を訳し(「チップスを食べながら」)、さらにその前を訳し(「リビングでテレビを見ていた」)とします。

繋げると、「私は夫が家に帰ってきたのを聞いたとき、チップスを食べながらリビングでテレビを見ていた」となり、日本語訳としてはとても分かりやすい文章になります。

これは返り読みとか反転法と呼ばれ、日本語訳を作る場合には役立つこともありますが、実際の会話力を上達させるうえではこの読み方はNGです。

なぜならこの方法だと、上で書いたようなプロセス~後ろから日本語に訳して日本語の文章としての体裁を整えたうえで理解する~を頭の中で踏む必要があるため、英文の意味を理解するまでに単純に時間がかかりますし、そもそも英文は最初の方に伝えたい重要なポイントがあるので、自分が英語で話すときにもそのポイントがぶれて伝えたいことがちゃんと伝わらないということが起こりかねません。

英語の語順を理解しリスニング力を上げるためには、英文を書かれている通り(後ろからではなく)前から理解していくことが重要です。

同様に、2度読みをしないことも重要。英文を一度最後まで読んでから、また頭に戻って訳し始める人がけっこういますが、お分かりのようにこれでは実際の会話でも2度繰り返してもらわないと理解できないということになってしまいます。

まとめると、英文は語順のとおり前から訳し、また2度読まず1度目で訳すのが重要だということになります。

英文をイメージで理解できるようにする

「そうはいっても今までそのやり方で訳してきたし、語順のとおり理解するのってどうしたらいいのよ?」と思われる方もいらっしゃるかと思います。ではどうするかというと、英文をイメージで理解できるようにするのが重要です。「直読直解」といいます。

どういうことかというと、まず先ほどの文章を思い出してみましょう。

I was watching TV in the living room,eating chips, when i heard my husband came back home.

まず主語は「私」なので話している相手のことだというのは分かりますね。次に最初の部分で「居間でテレビを見ていた」という場面をイメージします。同様にチップスを食べている場面を想像し、最後に彼女の夫が家に帰ってきた場面をイメージします。

左から順にイメージが完成することにより、一語一語日本語に翻訳して文を完成させるよりもっと直感的に素早く英文を理解できるようになります。

要は、必要なのは正しい日本語訳を作ることではなく、相手の伝えたいことを英語のまま理解できるようにすること。それができないから日本人は英語が苦手だといってもいいでしょう。

ですが、冒頭で説明したように日本語と英語が真逆といってもいいほど異なっているとか、文化による考え方の違いとか、そういったことをあらかじめ理解しているかしていないかではこの「英語を英語の語順のまま理解する」ということができるようになるかどうかが大きく変わってくると思いませんか?

英語を前から順に理解できるようになるトレーニング「スラッシュリーディング」とは?

さて、英語を前から順に理解できるようにするための効果的なトレーニングがあります。それが「スラッシュリーディング」です。

これは、単語レベルではなくフレーズレベルで英文を読んでいく方法です。

I went to the supermarket to buy some food after I finished my homework.

上の例文を、「わたしは宿題を終えたあとで、食べ物を買いにスーパーマーケットへ行きました」と訳すのではなく、かたまりごとに分けて理解していきます。

I went / to the supermarket / to buy / some food / after I finished / my homework.

上記のように「/(スラッシュ)」で分けるからスラッシュリーディングというんですね。

このように考えると、そのまま日本語に訳すのではなく、以下のように理解することができるようになります。

「わたしは行きました/スーパーマーケットへ/買いに/食べ物を/終えたあとで/宿題を」

説明してきたように、英語を前から順に理解できるのが分かりますでしょうか?

慣れてきたら、もう少し大きいかたまりで分けるようにします。

I went to the supermarket / to buy some food / after I finished my homework.

「わたしはスーパーマーケットへ行きました / 食べ物を買いに / 宿題を終えたあとで」

この練習を何度も繰り返すことによって、英語を日本語に訳すというプロセスを挟まずに理解することができるようになります。

スラッシュリーディングに関しては、最初のうちは「どこにスラッシュを挟んだらいいか分からない」などの悩みも出てくることでしょう。スラッシュリーディング用の教材も出ていますのでそれを利用するのもいいでしょう。当サイトでも別の機会に詳しく解説していきます。

まとめ

まとめ

英語の語順の重要性と、どういうふうに身につけていくべきなのかが何となくでも分かってきましたか?

英語の勉強法についてはいろいろな方法が広まっており、当サイトでも様々な方法を紹介していますが、語順に関しては見逃されがちです。

英語力をさらにステップアップさせるためにも、ぜひ当記事を参考にして英語の語順をマスターしてみてくださいね。

BRIT編集部
【この記事を書いた人】BRIT編集部 大人のための英会話の勉強方法や話題の英語教材をご紹介しています。
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