英単語を覚えられない社会人に捧ぐ!覚えるべき単語数とコツについて

英単語を覚えられない社会人に捧ぐ!覚えるべき単語数とコツについて

英語の3要素というのを聞いたことがあるでしょうか。英会話を学ぶうえでの基本要素のことですが、これは単語・文法・発音と言われています。まず単語があり、それらを結びつける文法があり、それをアウトプットするのが発音。なんとなく理解できるのではないでしょうか?

その中でもやはり重要なのは単語。もちろんすべての英単語を覚える必要などはありませんが、文法だけ知っていてもある程度の単語を知らなければまず相手の言うことを理解できないし、こちらも発信できないのは自明の理です。

しかし文法と同じく、英単語を覚えるのが学生の頃から苦手だった…という人も多いはず。英語に限らずいわゆる「暗記物」というのは地道な勉強が必要なので、苦しいと思う人はやはり多いですよね。

今回は、英単語がどうしてもうまく覚えられない…という人に向けて覚えるコツや効率の良い勉強方法について考えていきましょう。

英単語はどれくらい覚えればいいのか?

英単語はどれくらい覚えればいいのか?

最初に述べたように、文法だけ知っていても単語の意味を知らなければ英語の文章の意味は理解できません。ところが筆者自身もそうでしたが、単語・文法問題は苦手なのに長文問題は得意という人がたまにいます。そういう人がどうやって長文問題を解いているかというと、わからない単語の意味は前後の文脈から推測するのです。

「じゃあその方法が分かれば単語をたくさん覚えなくていい…?」

もちろんそんなことはありません。単語の意味を文脈から判断するにせよ、その単語の周辺にある単語の意味が分かるからこそある程度文脈で判断できるのです。

逆に言うと、ある程度の単語力があれば分からない単語の意味を推測できるようになります。推測って具体的には?と疑問に思うでしょうが、例えば

indirectly」という単語を知らなかったとしても、

頭につくinは否定の意味」ということや

directは直接という意味」ということ、

語尾にlyが付くと副詞になる

ということが分かっていれば

indirectly=間接的に

という意味が導き出せる、といった具合です。ここまで具体的にでなくても、何となくこのような意味かな?という推察ができることは多いです。

TOEICや英検などの高いレベルになると、問題の中に知らない単語があることはざらにあります。ではなぜそれでも解けるかというと、このように知らない単語の意味を推測しているからなのです。基本的な語彙力は絶対に必要ということですね。

「じゃあ結局どのくらいの数の単語を覚えればいいのよ?」

やはりそうなりますよね。基本的な語彙力は必要というけど、それがどのくらいなのか?と思うことでしょう。

すべての英単語を覚えようとするのは現実的ではありません。単語学習には終わりがなく、何千文字覚えてもキリがないのです。その中でも一説には、重要な単語1000語で日常会話の7割・2000語で8割を理解できると言われています。

また重要な英単語1500語だけでコミュニケーションしようというグロービッシュというものもあります。グロービッシュの説明については下記リンク先に譲りますが、覚えておいてもいいでしょう。

とりあえずグロービッシュは置いておいたときの必要単語数は、となると「まずは」2000語と考えておけばいいかと思います。先に述べたように2000語で日常会話の8割は理解できると言われていますし、TOEICでも最重要語2000語で89.5%をカバーできるとされているからです。

英語学習についていろいろ情報を集めていれば、2000語というのは「意外と少ないな」と思う人もいらっしゃるのではないでしょうか?また「いやいや、2000語も覚えなきゃならないんでしょ…」と思った人も、ちょっと待ってください。我々は義務教育で中学で1,100語・高校で2,000語のトータル3,100語を学んでいるはずなのです。

(ちなみに2020年度から新しい学習指導要領が採用され、今の学生は高校卒業までに5,000語程度の英単語を習うことになったそうですが。)

つまり2000語の中にはすでに知っている単語も多く、また一度覚えたけれど忘れてしまった単語も含まれているのです。そう考えると少しは気が楽になるのではないでしょうか?

英単語を覚えるコツは?

英単語を覚えるコツは?

英単語を覚えるのは多かれ少なかれ苦しいものです。人によっては苦痛と感じる人もいるでしょう。そこはもう割り切っていただくしかありません。何の苦労もなく英語を身につけることは不可能なのです。

しかし本当につらいのは、

「こんなに苦労して覚えようとしているのに全然覚えられない…(涙)」

ということではないでしょうか。逆に、苦労してもある程度結果が出てくれば満足感もありますし、楽しさも見出すことができます。

英単語を覚えるのには、ただやみくもにやるのは非効率的です。覚えるのにもコツというものがあります。次はそこについて考えていきましょう。

とにかく繰り返すことが重要!

英単語を覚えるためには、とにかく繰り返すことが重要です。「そんなの常にやってるし、コツでも何でもない!」と思った人、あなたの繰り返し方は間違ってはいないでしょうか?

忘却曲線とは何か

ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスによって証明された「エビングハウスの忘却曲線」というものがあります。人間の脳はそもそも復習しないと忘れるようにできているという理論です。それによれば、あることを記憶したあとの忘却に関する結果は下記のようになったそうです。

20分後 42%忘れる
1時間後 56%忘れる
9時間後 64%忘れる
1日後 67%忘れる
2日後 72%忘れる
6日後 75%忘れる
31日後 79%忘れる

これを見ると、今日覚えたことは1日で7割近く忘れてしまうというのが分かると思います。これだけ見るとなかなか絶望的な数字ですね。

しかし同時に、復習の効果についても考察されています。例えば2日後の時点では72%忘れていますが、ここで復習をすると記憶はまた100%になります。その後1週間経ったあとにデータを取ると、忘れている率は50%くらいに抑えられているのです。

一度覚えただけでは1日で70%近く忘れてしまうのに、次の日に復習すると1週間近く忘却速度が保たれるわけです。

これらから言えるのは、まず人間は忘れるので記憶を定着させるのには復習が必要だということ、そしてその復習には適切なタイミングがあるということです。

同じ1日のなかで何度も復習を繰り返してもあまり意味がありません。例えば次の日に一度復習しその次は6日後にやる(もちろんその間は違う単語をやる)など、適切なスケジュールを組んで復習すれば覚える効率は圧倒的に変わってきます。

念のためですが、1ヶ月以上空けて復習しても効果は見られないというデータもあるようです。1ヶ月以内に繰り返し行うのが効果的ということですね。

6~7回以上は繰り返す

英単語が覚えられない!と嘆いている人、実際には何回くらい繰り返して覚えようとしたのでしょうか?2~3回やって「もう忘れている、覚えられない」などと言ってはいないでしょうか?

単語を覚えるためには、最低でも6~7回以上は繰り返すことが必要です。そこまでやったうえで覚えられないのなら悩んでもいいかもしれませんが、多くの人がそこまでやる前に諦めてしまっています。まずは回数をこなすことを重要視しましょう。それもダラダラやっては意味がないので、2か月で単語帳を5周する、などの目標を決めて行うほうが効果的です。

ひとつひとつに時間をかけすぎない

単語を覚えるときは、ゆっくりやらないほうがいいでしょう。ひとつひとつの単語をじっくり覚えようとすると、時間ばかりかかってしまい、これがまた途中で気持ちが折れて脱落する理由にもなってしまいます。

ひとつひとつの単語の意味をじっくり理解することは必要です。同じ単語でも使い方や文法によってニュアンスが変わってきたり複数の意味があったりするので、その理解は大事です。が、その勉強はまた別として割り切った方が効果的です。

同じく、その単語の別の品詞の形や同義語・反対語等の情報が単語帳には載っていると思いますが、それらをすべて理解してから次へ進もうとするとやはり気持ちが折れる可能性が高いです。なかなか単語帳が進まないというのもモチベーションの低下に繋がりますし、なにより非効率的です。それくらいなら、なるべくはやく一冊を終了して何度も繰り返す方が効果的といえるでしょう。

ひとつひとつの単語に時間をかけすぎず、単語帳を何周も何周もブン回すといったようなイメージでやるのがおすすめです。

紙に書く方法は是か非か

暗記をするときに、紙に書いて覚えた方がいいという人とそうでない意見の人がいます。確かに紙に書くと、書くという動作でも脳に覚えさせるという効能がありそうですが、効率という面ではどちらかというとあまりおすすめしません。ひとつの単語を発音するのが約1秒で済むとしたら、単語ひとつを書くのに約3秒。無駄に時間がかかりますし、口に出して発音する覚え方の方が「英会話」という意味でも将来性があります。

学習の分散効果を利用する

忘却曲線の話でも分かるかと思いますが、1日6時間単語を覚えるのと、1日2時間で3日かけて覚えるのとどちらが記憶の定着率が高いかというと、後者の方です。

学習の分散効果と呼ばれるもので、次の学習との間に睡眠を挟むことで脳が情報をうまい具合に整理してくれます。パソコンのデフラグのようなものですね。

また、人間が一度に集中できるのは30分が限度という説もあります。30分以上やってはいけないことはありませんが、時間がない人はいっそ「単語の勉強は一日30分」と割り切って、毎日行う方が効果的な場合もあります。

もう一歩先の英単語学習~イメージして覚える

もう一歩先の英単語学習~イメージして覚える

英単語を覚える方法について解説してきましたが、最後にもうひとつ、あなたの英単語学習を一歩先に行ったものにするための心得をお話しします。

それは、英単語を覚えるときは単語の意味の先にあるイメージを意識するということです。

英語が本当にできるようになるためには、英語を頭の中でいちど日本語に訳して考えるのではなく、英語を英語のまま理解する英語脳を作る必要があります。そのためには、英単語をイメージを持って覚えることが重要です。

例えば、「adopt(採用する)」という単語を覚えるときに「何かの計画や決議などを採用する」というイメージを伴って覚えたり、「organize(組織する)」を覚えるときに「何かが規則的に集まって意味のあるかたまりになるようなイメージ」を持って覚えたりするなどです。

このような方法は「フラッシュバック法」と呼ばれることがあります。脳内にイメージを焼き付けるような意味合いです。

これは別の言い方をすれば、その英単語の概念(コアミーニング)を覚えるということです。例えば「have」を「持っている」と覚えるよりも、「対象(人や物)が自分の範囲内にある」という概念で覚えると「I have a pain in my mouth. (口の中が痛い)」という英語も比較的すんなり理解できるのではないでしょうか。

この「イメージして覚える」ことを意識しながらトレーニングすれば、あなたの語彙力は段違いにアップすること間違いなしです。

まとめ

まとめ

今回は英単語をなかなか覚えられない社会人の人向けに、心構えとコツについてお話ししました。

英語を身につけたいと思う人は多いですが、社会人となると仕事や家事・育児などでなかなか時間が取れなかったり、疲れてやる気が出なかったりしますよね。

無理にやってストレスになるくらいならやらない方がいいですが、いざ「これだけの単語を覚えられた!」となると喜びや自信にもつながるものです。仕事のモチベーション向上にも役立つかもしれませんね。

限られた時間で効率的に覚えるためにはコツを知っていることが重要。今回の記事を参考にして、より多くの単語を覚える助けにしてくださいね。

BRIT編集部
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