大人が英検を受けたほうがいい理由とは?TOEICとの違いやメリット・デメリットについて

大人が英検を受けたほうがいい理由とは?TOEICとの違いやメリット・デメリットについて

大人の人が英語のやり直し学習をするにあたって、目標設定や学習方法をいろいろ決めると思いますが、その際にTOEICを選ぶ人が多いのではないでしょうか。実際、TOEIC・TOEFL・IELTS・ケンブリッジ検定など日本には多くの英語の検定試験がありますが、一番人気があるのがTOEICのようです。

英語教材や教室などでも「TOEIC対策!」などと銘打っているのは多いですし、「TOEIC〇〇〇点以上」なんていうフレーズもよく聞くところだと思います。

では、英語学習の初心者が始めるのにはTOEICが一番なのかとなると、ちょっと待って!と思ってしまいます。なぜなら、初心者に最もうってつけなのは英検だからです。

「え~、英検?TOEICの方が評価が高そうだしいいんじゃないの?」と思った方、いろいろ誤解されている部分があるようです。今夏は、英語初心者の大人が英語をやり直すにあたって英検がいかに向いているか、そしてTOEICと比べたときのメリット・デメリットなどについて解説していきたいと思います。

英検って何?英検のイメージとホント

英検って何?英検のイメージとホント

英検と聞くと皆さんどんなイメージがあるでしょうか。英検は、日本における最も古い英語の検定とされており、中高年の方にもなじみが深い資格検定のひとつですが、正式名称をご存じの方はどれくらいいらっしゃるでしょうか?

英検の公式名称は「実用英語技能検定」といい、公益財団法人日本英語検定協会が実施する英語技能の検定です。始まったのは1963年(昭和38年)ですから、実際に歴史のある検定ですね。

さてこの英検のイメージですが、「子供が受けるもの」というイメージを持っている人が多いようですね。実際問題、受講者の割合の多くを占めるのが高校生以下なのは嘘ではありません。ですが、だからといって大人が受けるものではないと決めつけるのは早計です。

そもそも英語の勉強をやり直したいという大人は、中学程度の英語もできないから英語が話せない人がほとんどです。逆に言うと中学英語をマスターすればある程度の会話はできる、という話は以下のリンク先でも説明しています。

なのでまずは、子供が学ぶものなどと無意味に上から目線で馬鹿にしたり、子供に交じって受けるのが恥ずかしい、などという考えを持つのは止めましょう。

なぜ英検がいいの?英検のメリットとは

なぜ英検がいいの?英検のメリットとは

それでは、なぜ英検を勧めるのか推しポイントについて解説していきたいと思います。

英検のメリット①英検は問題の質がかなり高い

英検の過去問はクオリティが高いと言われています。受けるかどうかは置いておいたとしても、普段使いのテキストとしてかなり優秀なのでおすすめできます。どのようにクオリティが高いのかというと、英語のプロやネイティブを何人も使って練りに練って作られた英文にそれが表れています。

またしっかりした英文が多いのも特徴です。ここで言うしっかりしたというのは、ネイティブっぽいくだけた表現でもなく、またガチガチにアカデミックすぎる難しい英語でもなく、日常会話として使える英文ということです。これによって文法の理解が深まるのと、応用が利くので派生した英文を使えるようになりスピーキングの力がどんどん上がっていきます。

英検の問題はジャンルが幅広く、またそのバランスがいいとも言われています。これによってボキャブラリーを自然に吸収でき偏りなく英語学習を進めることができるのです。

英検にはリスニングテストもあります。それぞれの短い質問が日常会話に寄せて作られているので、夫婦・親子・同僚との会話など実際に使う英語を学ぶことができます。

英検のメリット②自分に合ったレベルで学習ができる

TOEICやTOEFLは問題が難しすぎるというのが初心者にとって優しくない点です。TOEICに関して言えば、初心者や熟練者に関わらずみな一様に同じ問題を解き、その中でどれくらい点を取れたかというテストのため、初心者が学ぶのに必ずしも適しているとは言えません。

一方、英検の場合はレベルごとに級が分かれているため、自分に合ったレベルの勉強から始めることができます。ちなみに英検の級は以下のように分かれています。

•英検5級  → 中学初級程度
•英検4級  → 中学中級程度
•英検3級  → 中学卒業程度
•英検準2級 → 高校中級程度
•英検2級  → 高校卒業程度
•英検準1級 → 大学中級程度
•英検1級  → 大学上級程度

大人のやり直し英語には中学英語がいいという観点からも、上記のようにレベル別に分かれていた方が学習しやすいというのがお分かりいただけるのではないでしょうか。またレベル別に分かれているということは、例えばTOEICの難しい問題を解いて低い点数しか取れず、ド~ンと落ち込んでしまう…などという挫折も味わわずに済みます。自分に合ったレベルの問題である程度の点数を取れれば、それがモチベーションに繋がるのは言うまでもありません。

大人のやり直し英語に関しては、以下のリンクも参照してみてください。

英検のメリット③日常会話メインでビジネスに特化していない

TOEICに関しては、会社の査定に必要とする会社もある例もあるように、特化と言っては言い過ぎかもしれませんがかなりビジネス英語寄りです。一方の英検は、準2級あたりからは環境問題など難しい話題も出てきますが基本的には日常会話メインで、ビジネス英語に特化しているということはありません。

大人が英語を勉強するにあたって、仕事で使うという目的の人もいるでしょうが、ほとんどの人は海外旅行で役立てたいとか単純に外国人と話したいというのが目的ではないでしょうか。そういった意味ではビジネス英語に特化しておらず日常会話がメインになっている方が初心者にも優しく、また実際使う場面でも有効であると言うことができると思います。難しく書いてしまいましたが、要はメリット①でも触れたように英検の英語は実用的だということです。

英検のメリット④英語の4技能全ての能力をテストできる

意外に盲点なのですが、TOEICはリスニングとリーディングのスキルのような受動的・受け身(パッシブ)の能力しかテストしません。(厳密には「TOEIC® Speaking & Writing Tests」というものもあるのですが、Listening & Reading Testに比べ受験者数も学習者数も圧倒的に少なくほとんど利用されていません)

これはTOEICの弱点というよりは、求められているものの違いというべきかもしれません。TOEICは「英語の知識」をテストする試験なので、「英語を使える能力」に関してはあまりテストされないと思っておいてください。現に、TOEIC満点でも英語が話せないという人もいます。

一方、英検に関してはまず、TOEICと違ってリーディングとリスニングの他に「エッセイ(ライティング)」の質問があります。そしてリーディング・ライティング・リスニングの試験に合格すると「スピーキング」のテストを受けることになります。「アウトプット」(スピーキングとライティング)も練習する必要があるのがTOEICには無い点です。このように英検は英語の「4技能」を全てテストできるため、本当の英語力を測ることができるというわけです。

英検にはデメリットや弱点はあるのか?

英検にはデメリットや弱点はあるのか?

英検のメリットについて話してきましたが、そんな英検にも弱点やデメリットはあるのでしょうか。

①ビジネス英語を学びたいならTOEICに軍配が上がる

これは弱点というべきかどうか分かりませんが、即戦力としてのビジネス英語を学びたいならやはりTOEICが優れています。出てくるボキャブラリーとフレーズは主に仕事で使う内容で、リスニング試験の内容は同僚や取引先との会話シーンなどが多く、語彙の質問も貿易に関する語・ホテルで使う語・ミーティングに出てくる語などビジネス用語が多数です。またビジネスメールや手紙・会議の議事録などのリーディングの質問が出てくるので、そういった面でも実際のビジネスに役立つでしょう。

また実際に海外の企業などとビジネスを行う際、相手がアメリカ人とは限りません。TOEICではアメリカ英語だけでなくイギリス英語・オーストラリア英語など様々な英語の発音が出てきます。国際的なビジネスを実際に行うと考えたとき、さまざまな国の発音を知っておくことは強みになります。

②試験の回数が少ない

TOEICは年に10回も試験を行いますが、対する英検は年に3回(6月・10月・1月)しか試験がありません。忙しい大人にとっては、予定を合わせづらいなどの理由でこれがデメリットになってくる可能性はあります。また回数が少ないということは、一度逃すと次の試験までの期間が長いということです。これをマイナスととるか、次の試験までの勉強時間が長くとれると取るかはその人次第ではありますが…

英検を受けるとして、何級を受けたらいいの?

英検を受けるとして、何級を受けたらいいの?

大人(社会人)は英検何級から受けるべきかというのは諸説あり、意見が分かれるところではありますが、当サイトでは最終的な目標を2級、とりあえずの目標としては3級に設定することをおすすめします。

「目指すのは1級じゃないの?」という疑問を持った方もいらっしゃるかもしれませんが、英検の1級というのは難易度が高いことで有名で、ネイティブの人でも手こずると言われるほど。要は英検1級はあまりにも難しすぎるので、初心者が目標にするのは現実的ではありません。

一方で、5級・4級はちょっと簡単すぎると思う人が多いと思います。問題を見ても、普通に義務教育を受けた人であれば解けるものがほとんどであり、物足りないと思ってしまうかもしれません。ちなみに5級・4級には英検の売りとも言えるスピーキング(面接)試験もありません。

そういった意味でも、まずは中学卒業レベルである3級をクリアし、そのうえで準2級・2級を狙っていくというのが初心者の大人にとってのやり直し英語には最適ではないかと思います。また2級は「実際に役に立つか」という意味でも優秀なので、大人が目標にするには申し分ないのではないでしょうか。

まとめ

まとめ

英検の知られざるメリットについてお話してきましたが、英検に対するイメージは変わったでしょうか?

英検に対して一番強調したいことは「子供に混じって英検を受けるなんて恥ずかしい…」などという気持ちを持っているのなら今すぐ捨てるべきということです。

もちろん会場に大人の数は割合としては少ないですが、いないわけではありませんし、そもそも大人も子供も他の人のことなど気にしちゃいません。

学生たちにしたって何千円かの安くない金額を払って受けに来ているわけですから、「オッサンが英検受けに来てるぜ~プププ」などと考えてるヒマなどありません。

もちろん「TOEICの方がなんかカッコイイかも…」なんて思ってしまうことを否定はしませんし、実際に英検〇級とTOEIC〇〇〇点が同程度の実力だったとしても、TOEICの方がすごいと言う人もいるかもしれません。

ですが、そもそもなぜ大人になってまで英語を勉強するかを考えてみてください。目的は決して人にスゴイと言われることではなく、英語を話せるようになることではなかったでしょうか?

言うまでもないことですが、英検やTOEICは「目標」にはなるものの「目的」ではありません(目的とすることが悪いわけではないですが…)。あくまで目的は英語が話せるようになることで、英検やTOEICはそのための手段。そのように考えれば、自分のレベルやスタイルに合ったものを選ぶのがベストだということが分かると思います。

英検を実施している英語検定協会は、本当に英語学習者のことを考えて英検を作っています。試験が終了した後、問題を持ち帰ってすぐに答え合わせできますし、HPを見れば過去3回分の過去問と回答、リスニングの音源まで無料で閲覧することができてしまうんです。

本記事を見て英検に興味が湧いてきたら、いちど英検の公式HPを見てみるのもいいかもしれませんね。
英検公式HPへ

BRIT編集部
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