英語のリピーティングとはどんなトレーニング?効果と注意点についての超解説!

英語のリピーティングとはどんなトレーニング?効果と注意点についての超解説!

今回は英語のトレーニング方法のひとつ「リピーティング」について解説します。リピーティングという名前を聞いたことがある人もない人も、同時通訳者のトレーニングでも採用され近年注目されはじめている練習法と聞けば知っておかない手はないでしょう。

リピーティングのしくみや練習方法は知ってしまえばとても簡単なものですが、正しく行わないとあまり効果がないだけでなく悪い効果になってしまうことも。

この記事ではリピーティングとはどういうものか・どんな効果があるのかという点についてと、ただしいやり方・コツなどについて詳しく説明していきたいと思います。

リピーティングとはどういうものか

リピーティングとはどういうものか

リピーティングを簡単に説明すると、英語や英文を聞いてそれを声に出して繰り返す(=リピートする)学習方法です。「それだけ?」と思われてしまうのでもう少し詳しく説明すると、一定の長さの英文音声(通常は短い意味のかたまり)を再生し、音声を一時停止(ポーズ)し、音声をマネして発音するというトレーニングです。

学校の英語の授業で先生が「Repeat after me?」と言った後に生徒たちが繰り返しますよね。あれと似たようなものです。そう聞くとあまり効果がなさそうに聞こえるかもしれませんが、音声を正確に聞き取り真似して発音するため正確に行えばスピーキングだけでなくリスニングにも絶大な効果があります。

また、赤ちゃんはどうして習っていないのに言葉がしゃべれるのか?というのはよく言われることですが、基本的には親のモノマネをしているんです。赤ちゃんや幼い子供の方が英語を身につけやすいなどと言われる理由は、英語圏に住んでいて毎日大量の英語をシャワーのように浴びることができる環境も要因ですが、大人のように深く考えずに単純に発音をモノマネしているからというのも考えられます。リピーティングはまさにモノマネをすることによって、自己流ではない正しい発音を身につけることができるのです。

リピーティングの効果とは

リピーティングの効果とは

リピーティングは、正しく行えばおそらくあなたが今想像している以上の効果をもたらしてくれます。それではリピーティングの効果について見ていきましょう。

①短期記憶力(Retension)が強化できる

短期記憶とは、比較的短い秒単位の時間しか保持されない記憶のこと。これは英語だけでなく会話をするという行為のなかでとても重要です。人間は人と会話する際、その場で聞いた音声だけの情報を脳内にとどめておきながら話をする必要がありますよね。

もっと分かりやすく言えば、「この人さっき何言ってたっけ」というのが覚えやすくなります。日常会話ではそれほど不便を感じることはないでしょうが、初めて会った商談の相手とか、学術的な難しい話をするとか、会話の内容が込み入ってくると短期記憶が重要になってくる場合もあります。

リピーティングでは、自分の聞いた音声の短期記憶だけをもとに発音を繰り返します。またその作業を1文づつ繰り返し繰り返し行うので、短期記憶力(Retension=リテンション)の強化につながるというわけです。

その場で聞いたことを覚えられないほど耄碌(もうろく)していない!などと思う人もいるかもしれませんが、年齢に関係なく短期記憶というのは意外と難しいものなのです。伝言ゲームで内容がどんどん変わっていくのがそのいい例です。

ましてやネイティブと話すときにはなおさらこの短期記憶が重要になってくるのはお分かりいただけると思います。

リスニング力の強化

リピーティングの効果としてまず強調されるのがリスニング力の強化です。先に述べたように、リピーティングの本質は「モノマネ」です。聞こえた英語を自分で口に出して復唱しなければならないので、なるべくネイティブの発音に近づけるよう集中して音を聞き取ろうとします。

リピーティングのトレーニングをすることで、聞こえているようで確実には聞き取れていない部分や苦手な場所、日本人が苦手とされる「V」の発音や「R」と「L」の使い分けなども気づくことができます。

また英語における「音声変化」にも強くなります。音声変化とは、英語ネイティブが自然なスピードで話したときに起こる発音の変化のこと。分かりやすく言うと、当サイトでも解説してきた「リンキング」「リダクション」「リエゾン」などのことです。それらについて初めて聞いたという人は、下記リンク先を参照してください。

また英語の正しい発音と同様に、独特の抑揚やリズム・アクセントの位置などを習得する効果も期待できます。実は英語で相手に伝えたいことを伝えるとき、正しい発音だけでなく抑揚(イントネーション)やリズム・アクセントの位置も非常に重要。同じ文章でも意味が変わってきたりします。

会話というのはただの情報のやり取りだけでなく、感情のやり取りでもあります。文字を読んだだけでは分からない英語のニュアンスの伝え方も、リピーティングを繰り返し行うことで理解することができます。

またリピーティングは、文章を短い意味のかたまりごとに分けて読んでいきます。ネイティブは意味のかたまりごとに話したり読んだりしているもの。リピーティングを意識して行うことによって、ネイティブがどこからどこまでを意味のかたまりと考えているのかをつかみ、ネイティブが自然だと感じている区切りの位置を学ぶことができるのです。当然、初めて聞いた英語の文章でも意味がとらえやすくなります。

スピーキング力の向上

リピーティングには声に出して繰り返すというアウトプットの面があるので、当然スピーキング力も向上します。上で述べたようなリスニング力が強化されれば当然自分の発音にもフィードバックされますし、ネイティブの発音をモノマネすることでリズムやイントネーション、また話すスピードもネイティブに近づける効果が期待できます。

また、日本人が苦手とされる発音の矯正にも効果があります。具体的には、いわゆるカタカナ英語から脱却するという効果です。日本人はどうしても「まず日本語に直して考える」というクセがついている人が多く、それは日本の英語教育に起因するものも大きいと言われています。

いったんカタカナ英語で覚えてしまうと、それを正しい発音に矯正する手間がかかります。また何より重要なのは文法が完璧なカタカナ英語より文法は間違えているがネイティブに近い発音で話すほうが通じるということです。

もちろん単語や文法の学習は必要(というより必須)ではありますが、あまりに文法だけにこだわりすぎて発音はカタカナ英語ということになってしまうと、通じる英語も通じなくなってしまいます。

何を目的としているのか(英語が話せるようになるのが目的なのか、テストでいい点を取るのが目的なのか…など)を見失わないように学習を進めていきたいですね。

シャドーイングやオーバーラッピングとは違うの?

リピーティングの効果とは

英語学習に関して常日頃から詳しく調べている方や、当サイトをいつもご覧になってくださっている方の中には「聞いた英語を反復するって、シャドーイングやオーバーラッピングとどう違うの?」という疑問を持たれた人もいらっしゃるかもしれませんね。なかなか鋭い指摘です。それらとリピーティングの違いについてご説明しましょう。

シャドーイングとの違い

まずそもそもシャドーイングについてご存じない方は、下記リンクを読んでみてください。

シャドーイングもとても効果の高い学習方法ですが、シャドーイングが音声からワンテンポ遅れて追いかけるように発音するのに対し、リピーティングは完全に聞き終わってから音声を一時停止して反復します。

もうお分かりかと思いますが、リピーティングでは聞いた音声を記憶して反復するため短期記憶が鍛えられるものの、聴こえた音声をすぐに真似して発話するシャドーイングの方が難易度が高いです。

シャドーイングを行うためにはある程度の英語力がないとそもそも無理ですし、得られる効果もすでにある程度の英語力がある人がさらに能力をアップするためのメソッドといっていいでしょう。

そのため、リピーティングはシャドーイングを行う前段階のトレーニングとして行われることが多いです。

どちらが優れているというようなものではなく、自分のレベルに応じてまずどちらをやるか、というものであると認識した方がいいでしょう。

オーバーラッピングとの違い

オーバーラッピングについてご存じない方は、下記リンクを読んでみてください。

オーバーラッピングはスクリプトを見ながら音声と同時に発音する練習法です。スクリプト(台本)を見ながら行うというのがポイントで、これによって難易度はシャドーイングよりは低くなります。よってリピーティングと同様、シャドーイングを行う前の前段階として行われるものです。

リピーティングもスクリプトを見ながら行うやり方と見ないで行うやり方があるので一概には言い切れませんが、一般的な難易度とやる順番としてはオーバーラッピング→リピーティング→シャドーイングと覚えておけばいいでしょう。このあたりは諸説ありますが、やり方さえ間違えなければ効果がないということはないのでそこまで気にする必要はありません。

リピーティングのやり方・注意点

リピーティングの効果とは

正しく行えば効果の高いリピーティングですが、間違ったやり方で行えば効果が薄いどころか逆効果になることもあります。正しいリピーティングのやり方を覚えておきましょう。

自分のレベルに合った教材を選ぶ

これはリピーティングに限らずすべての練習方法に関してもそうですが、自分のレベルに見合わない教材を使っても理解できず、挫折する可能性が高いです。自分の英語力(単語力・文法力)を把握し、なるべく簡単なレベルからトライしましょう。教材の選び方としては、ネイティブが発音している音声+スクリプトがついているものを選んでください。また一文が長いものより短いもののほうが当然難易度は低く、うまくやれたときの達成感もあるのでおすすめです。

最初からスクリプトを確認しない

はじめはスクリプトを見ずに行うのがおすすめです。最初にスクリプトを見てしまうと、リピーティングではなくただの音読になってしまう危険性があります。それではリピーティングの効果を正しく得ることはできません。リピーティングの効果のひとつが短期記憶を強化することであることは説明しましたが、最初からスクリプトを見てしまうとその効果は得られないことは分かりますよね。

まずはスクリプトを見ずにやってみて、どうしても理解できなかったり聞き取れない部分をスクリプトで確認するようにしましょう。ポイントは、スクリプトを見るのは好ましくないというわけではないということ。むしろスクリプトは必要です。あくまで「最初からスクリプトを見ない」というのが重要ということです。

まとめ

まとめ

今回はリピーティングについて詳しく解説しました。シャドーイングやオーバーラッピングと同様、正しく行えば効果の高いトレーニング法ですが、それ以上におすすめしたい理由は一つの教材があればそれらすべてのトレーニングに使い回せるということです。

要は、ネイティブが正しく発音している音声+スクリプトという教材がひとつあれば、スクリプトを見ずにリピーティングし、スクリプトを見ながらオーバーラッピングし、スクリプトを見ずにシャドーイングするというのがすべてまかなえるということです。

そうなると教材選びが重要となってくると思われますが、よほどひどいものでなければ効果がないということはないので、まずは良さそうだと思った教材をひとつ見つけてトライしてみてください。どうも違うな、と思ったらまた違うものを探せばいいだけの話です。当サイトでも機会があればおすすめの教材をご紹介していこうと思いますので、楽しみにしていてくださいね。

BRIT編集部
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